世界を肯定する音楽:フジロッ久(仮) - 「超ライブ」

 

フジロッ久(仮)という少々癖のあるバンド名は、音楽好きなら語らずともその元ネタがわかるだろう。

フジロッ久(仮)は2004年に結成された東京在住のパンクバンドである。

そんな彼らが2016年3月9日に新アルバム「超ライブ」を発売する。

 

パンクバンドということで、もともとは銀杏BOYZのフロントアクトを務めていたり、もう少し明確にパンクよりのサウンドを作っていたが、今回のアルバムではより独自性を高める形になっている。徐々にシフトを見せていたバンドが目指すサウンドがより明確になってきた形だ。

 

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 (アルバムのアートワークやミュージックビデオのクオリティも非常に高い)

 

国民的アニメの主題歌からの引用や、パンクバンドなのに数多くのパーカッションの使用、鍵盤のメロディなどそのサウンドはパンクという枠を大きく超えてきている。

一見カオスにも思われる要素の多様だが、一回聴いてみればわかるように、よく練られたサウンドはむしろ耳に心地よい。

さらに2人いるフロントマンである藤原と高橋が刻む言葉には、複雑に絡むサウンドの中にあって、パンクの精神を保ちながら詩的で、とても響くものになっている。

 

そして何より、彼らの音楽は前向きだ。

要素の複雑化が結果として祭り感を出し、音楽的な背景と加えて、彼らのキャラクターが多幸感を増幅させている。

 

サウンドの演出によって気持ちよく聴ける、踊れる音楽が増えている傾向が世間的には言われているが、僕にとって、彼らの音楽は気持ちを前向きに、そして気持ちよく支えてくれる。

 

4つ打ちロックでもなく、シティポップでもなく、EDMでもなく、ましてやアイドルソングでもない、こんな音楽が今出てくることを、なぜか不思議に思いつつ、嬉しく思う。

 

多幸感が漂うその音楽が僕は好きだ。

彼らの、これからのさらなる活躍が楽しみである。