雑感:Surface Pro 4 --「ある編集者の戦い」編 / Microsoft
Surface Pro 4 --「ある編集者の戦い」編 / Microsoft
「恐れることを恐れるな」
サッカーU-23日本代表の試合中継で、ハーフタイムに必ず流れるこのCM。
CMの訴求自体はタイトルにあるようにMicrosoftのSurface Pro 4という製品にあるのだが、スポーツ雑誌「Number」の編集者を主人公に据え、元サッカー日本代表のイビチャ・オシム監督にインタビューするストーリーなど、まさにサッカー日本代表選というイベントに合わせて企画されたCMであることがわかる。
このCMのターゲットやテーマは明確で、まさにCMに出てくるような働いている20代〜30代の比較的若い男性サラリーマンに向けて、彼らがぶつかる仕事を通じた自己の葛藤と決断について描いている。
またCMの特設サイトでも言及されているが、録画視聴などタイムシフトで個人に合わせたメディア受容が可能になった現在、スポーツ中継という、生放送が価値を持つある種の例外のコンテンツに流れるCMだからこそ、そこに合わせて今、リアリティのあるものを届けたいというメッセージは非常にシンプルで判りやすい。
少しそれるが20代〜30代の悩めるサラリーマンを同じくターゲットにしている転職サイトDODAのCMでも、偉人の名言を引く、といった形式で、岡本太郎やチャップリンの言葉を引用し、転職支援という自社サービスのPRを行っている。
要するに、悩めるサラリーマン(に限らず、すべての悩める人)にとって、先人達の言葉は大きな支えや指針になるのは確かで、決断的に言い切るような言葉は、特に若い男性には魅力的に映るだろう。いっちょここらで勝負してみるか。まさにターゲット層である僕自身もその気持ちはわかるところだ。
で、掲題のCMに戻ると、オシム元監督なんて特に、当時から「オシムの言葉」みたいな形で言葉について良い意味でも取り上げられていた人だし、こういったテーマのCMではその相性は抜群のように感じる。
メッセージやテーマが使い古されたものであっても、伝える人(オシム)の説得力、伝える環境(あえてのリアルタイムTV視聴)が整っていれば、陳腐にならず、その言葉はより強く響く。
編集者の主人公はオシム元監督に尋ねる。
「どうしたらあなたのみたいに自分らしさを貫けるのか」
そして監督はこう答える。
「恐れることを恐れるな、進め」
恐れずに進んだ結果が、映画「ファイトクラブ」のように破滅に進む可能性もある。意識高いCMだね(笑)とメタ的に消化してこのメッセージから受ける自分へのストレスを軽減をすることもできる。
でも理想と現実、安定と緊張の間で揺れ動く若年サラリーマン心理を捉えた良いコピーだと僕は思った。